道端にぽつんと 転がるモノひとつ 何気なく そこに転がっていた そう それはとても何気なく
ソノモノの表面は なんともいえない質感で どこが前で どこが後ろか なんなのだろうか ソノモノは 丸いのかもしれない たぶんソノモノは
ソノモノ少し動いたか いやいやヒトがつまづいたのか その瞬間に ソノモノ少し大きくなった いやいや単なる気のせいか
そんな行動くり返し ソノモノどんどん大きくなった 目の錯覚ではないらしい
ソノモノは 大きくなった 元の姿を忘れてしまう あっという間だった
ソノモノの下には 皆同じく倒れたヒト こけてしまったヒト ヒトヒトヒト やがてそのヒトたちも見えなくなった
ソノモノが飲み込んでゆく そう見えた ソノモノが音も無く ヒトを吸い込んでいるのか はたまた包み込んでいるのか ソノモノは 私にわかることはないけれど
どれだけのヒトがうずまっただろう そんなことはどうでもいいだろう とっくに私の目には ソノモノの大きさなんて写らない
道端飛び越え溢れ出し ヒトをヒトを 絡めてとって ソノモノそのまま
動くのをやめた どっしり居座った 時間の流れを弾いたように ソノモノいるだけ 大きくなっていただけ からからとからからと
なんだろう きらきらと さらさらと 見える感じる聞こえる のに いつまでたっても カタチが見えない しゃんしゃんないてる カタチが見えない
その瞬間には 何かが大きく聞こえた ソノモノもないていた 真っ青に気付いたときには それらは消え失せていた
コンコンと鳴る空気だけ もしかしたら 向こうにはヒトが見えたかもしれない
なんだかとても狭かった 愉快なほどに 元の道が続いている
またソノモノに会うのは いつになるだろうか そう 長く待つ必要はない そのことだけはわかっている そのことだけは
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