昼夜の瞼

 

夜のにおいが好きだった

宵の街を駆ける僕には

何でもできる気がしていた

オレンジ灯が見下ろす世界には

たしかに僕だけが生きていた

いつから夜が怖くなったの


昼の太陽の白さに群がって

空の色がうすまっていく

手をかざしてもまだ眩しくて

思わずにやけた唇をかんだ

生きている証明の光が溢れていた

いつから昼が嫌になったの


昼の神さまと

夜の王さま

僕はどちらにつくだろう


気付いたのはとある暮れ方

藍色の空と背伸びをした自分の影

道ゆく車

無言の街灯

明かりをつけはじめた彼らに

夜の意味を知る


ふいにさびしいと思った

昼間の星は見えないように

光だらけの世界に夜の居場所がないようで


そうして目をつぶった

僕に見えたのは太陽の影と

王さまを探す

小さな僕だった

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