ママが言ってた 今夜は屋敷のカボチャと目を合わしちゃいけないんだって あのカボチャに連れて行かれたら こっちには帰って来れないんだって
あのカボチャはぼくらを狙ってる にっこり笑って ぼくらをあっちに誘ってるんだ
パパに聞いてみたら あっちにはそれはそれは 恐ろしいものが たくさん住んでいるんだって ぼくらはあっちに行っちゃ危ないんだって だからあのカボチャについて行っちゃダメなんだって
もしもあのカボチャと一緒にあっちに行ったら ぼくはどうなってしまうんだろう
あっちには何がいるの? だってぼくら あんなに楽しくなりきれるじゃないか おかしももらえる カボチャだって光ってきれいだよ 僕らのカボチャと屋敷のカボチャ 一体何が違うのさ だからきっと あっちが怖いわけないよ
いいつけ破って悪い子だけど 今はとても あのカボチャの目を見つめてみたい そしたらきっと あっちに行ける そうなんでしょう
そしたらカボチャが僕の手をとって とっても低い声で言ったんだ 「行こうか坊や あっちはとっても楽しいよ」
そうしてカボチャは歩いてゆく 細い道の果て 暗い森の奥へ
途中に木の間から見た月は きれいなきれいな赤い色だった
カボチャのおじさん もうすぐあっちに着くんでしょ?
確かにその時笑ってた
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