カボチャ

 

ママが言ってた

今夜は屋敷のカボチャと目を合わしちゃいけないんだって

あのカボチャに連れて行かれたら

こっちには帰って来れないんだって



おひさまが沈んだら

あのカボチャはぼくらを狙ってる

にっこり笑って

ぼくらをあっちに誘ってるんだ



あっちには何があるの?って

パパに聞いてみたら

あっちにはそれはそれは

恐ろしいものが

たくさん住んでいるんだって

ぼくらはあっちに行っちゃ危ないんだって

だからあのカボチャについて行っちゃダメなんだって



でもさ

もしもあのカボチャと一緒にあっちに行ったら

ぼくはどうなってしまうんだろう



パパ ママ ぼくは気になるよ

あっちには何がいるの?

だってぼくら

あんなに楽しくなりきれるじゃないか

おかしももらえる

カボチャだって光ってきれいだよ

僕らのカボチャと屋敷のカボチャ

一体何が違うのさ

だからきっと

あっちが怖いわけないよ



ぼくは行ってみたいや

いいつけ破って悪い子だけど

今はとても

あのカボチャの目を見つめてみたい

そしたらきっと

あっちに行ける

そうなんでしょう



ぼくはあのカボチャの目を見たんだ

そしたらカボチャが僕の手をとって

とっても低い声で言ったんだ

「行こうか坊や あっちはとっても楽しいよ」



そうしてカボチャは歩いてゆく

細い道の果て 暗い森の奥へ



途中に木の間から見た月は

きれいなきれいな赤い色だった



わかってるよ

カボチャのおじさん

もうすぐあっちに着くんでしょ?



ちらちら光るおじさんは

確かにその時笑ってた

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