デネブ

 

夏の夜の

一年に一度の逢瀬とか


今宵またあの二人は出会うのだろう

カササギの羽音も

下界の熱心な笹の音も

ご苦労なことで


こんな年に一度を糧に生きるほど

想い続ける心がこわい


僕の

ロマンチストは呼吸をやめて

水底で星と戯れる


もしも僕に本物の翼があったなら

誰かを探しに飛んでゆくのだろうか

もしも僕に本当の心があったなら

誰かを求めることもあるのだろうか


不公平だなんてかんじないけど

僕だって

ここにいる


腕があったら首の後ろで組むのだろう

顔があったら苦笑するんだろう


また

どうでもいいやって

のどをならしちゃって


どうせ

僕の涙は届かない

誰にだって届かないから

inserted by FC2 system